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私は高校の時から物理が好きで、アインシュタインに憧れを抱いていました。
「人類が前進するきっかけを作り、死後も世の中の発展に影響を及ぼすなんてめちゃくちゃかっこいい。自分も物理学者になって世紀の発見をしたい!」
そう意気込み入学したのが、アメリカにあるアラバマ州立大学ハンツビル校です。
アメリカの大学は、単位を取り終えれば飛び級での卒業が可能。当時は高校から付き合っていた彼女が日本にいたので「このまま4年も待たせたくない。2年半での卒業を目指そう」と必死に勉強しました。
その甲斐あってか、1年目が終わるころには2年分の単位をオールAで取得。「よし、この調子であと1年半頑張ろう!」と気合十分だったものの、突然彼女から別れを宣告されまして……。
気持ちの切り替えができず次第に勉強をサボるようになった私は、段々とオンラインゲームにのめり込んでいきました。
当然、成績はガタ落ちです(笑)。物理学者になる夢も「物理は好きだけど、学者として一生向き合うことはできない」と感じるようになってしまい、将来の目標を完全に見失いました。
そうしてダラダラと大学生活を過ごし、気付けばあっという間に卒業の時期。大学院に進学しない私には、就職の道しかありませんでした。
「さすがにこのままではまずい」と考えた末、行き着いたのは「物理学者になれなくても、ビジネスパーソンとして世の中に大きなインパクトを与えられる人になろう!何をするかはおいといて、20代で起業しよう!」という安直な結論でした。
今は就職・転職活動のアドバイスをする立場の手前、当時を思い返すとお恥ずかしい限りですが……。「起業するならお金を稼ぐ必要があるから、まずは営業をやろう!」「大手よりベンチャーの方が成長できそう!」と考え、手当たり次第にベンチャー企業の営業職を受けました。
しかも私、面接では「入社したら、1年で辞めて起業します!」と馬鹿正直に伝えていたんです。1年で辞めてしまう社員を採ってくれるところなんて、そうそうありませんよね(笑)。
それでも方針は変えずに「今の自分を採用してくれる会社があったら、とにかくそこに入社しよう」と猪突猛進スタイルの就活を継続。その結果、最終的にはギークス株式会社(入社当時は株式会社ベインキャリージャパン)という会社が生意気な私を拾ってくれました。
ギークスでは、当初の希望通り営業を担当。しかしバイトもろくにしてこなかった私は毎日失敗ばかり。
でも不思議と仕事が嫌だと思う瞬間はなかったんです。むしろ「誰よりも仕事ができない自分が1年で起業するには、人の何倍も努力するしかない」と燃えました。
難しいことはできなかったので「とにかく元気に返事をする」「『やりたい人いる?』と聞かれたら、誰よりも早く手を挙げる」「一番最初に来て、一番最後に帰る」というマイルールを作り、ひたむきに取り組み続けました。
夢を諦めて無為に過ごしていた大学時代と比べると、失敗しながらも前に進んでいる実感があり、毎日がとても楽しかったですね。
そうこうしているうちに、自分で定めた「1年間で起業」の期限が迫ってきました。正直なところ会社に不満はなかったので、どうしようかと悩んだのですが……。
ある時大学時代の友人である今村(創業者)が、第二新卒の就活支援をしている人材紹介会社で、社長と2人で働いていることを知りました。
当時は「第二新卒」の言葉の意味も知りませんでしたが「社員が2人しかいない会社に入社したら、もはや起業したも同然だな!」と考え、社長を紹介してもらったんです。
「申し訳ないけど、赤字だから新しい人を雇う余裕がない」と、一度お見送りの連絡をもらったものの、どうしても諦められず「お金が問題なのであれば給料はいりません。3ヶ月で一番の売上を出せなかったらクビにしてください」と社長に直談判。「そこまで言うなら」と、何とか入社のチャンスをもらうことができました。
これが私の“若者に対する就活支援人生”のスタートです。最初は起業を実現させる手段として始めた仕事でしたが、次第に日本の歪んだ就職市場に対して、問題意識を感じるようになります。
私が面談していた若手人材の中には、将来の活躍が見込める方がたくさんいました。
確かに1社目を早くに退職した点や既卒という点では、ピカピカの新卒とは異なります。それでも実際に会ってもらえれば、間違いなく魅力的に感じる方ばかりです。
にも関わらず、当時の日本の就職市場では「既卒・第二新卒だからダメ」と言われてしまうことが多くて……。新卒ではないという理由だけで、本当の価値を見てもらえず「自分は新卒じゃないからダメなんですよね……」と自信を失う若者を多数見てきました。
その人自身は素晴らしいのに、“経歴”だけでチャンスがもらえないのって、どう考えてもおかしいですよね。
少子高齢化が進む日本においても「働きたい若者」と「若者を欲する企業」がマッチングしていないのは、社会的に大きなロスです。だからこそこのミスマッチを解消できれば、企業や若者、ひいては社会にとってプラスになると感じました。
こうしてどんどん自分の思いが高まり、ここから頑張るぞと意気込んだ矢先、事件が起こります。社長から「ひろきくん、申し訳ないんだけど今月末でクビでいい?」と言われてしまったのです。
成績も問題なく出せていたので、いきなりの解雇宣告には衝撃を受けましたね(笑)。話を聞くと社長は海外への移住を考えており、会社を売却したいとのことでした。でも、その時「これは逆にチャンスだな」と閃いたんです。
社長に「会社を売ってくれませんか?」と交渉し、最終的には事業を買収。2012年2月22日(第二新卒の日)に「株式会社UZUZ(ウズウズ)」をスタートさせました。
創業以来、UZUZは「自らと若者がウズウズ働ける世の中をつくる」ことをミッションに掲げ、既卒・第二新卒の方に特化した人材紹介事業に取り組んできました。
短期離職をしているなどいわゆる“王道ルート”から外れた若者と、若手を採用したいのになかなかうまくいかない企業。お互いの壁を壊し、Win-Winな状態を作ることで“若者がウズウズ働ける世の中”に近づけると思っています。
人材紹介は一人ひとりの求職者の方に寄り添い課題解決ができるという点で、とても素晴らしいサービスです。これからも引き続き、伸ばしていきたいと思っています。
しかし一方で、お一人おひとりの選択に真摯に向き合うからこそ「多くの方を同時にサポートできない」という課題も感じていました。
そこで乗り出したのが、就活・キャリアの悩みを解消していくYouTube「ひろさんチャンネル」の開設です。https://www.youtube.com/@uzuz5236
キャリアに関する情報発信や、就職・転職活動のノウハウ解説を目的に2018年にチャンネル運営をスタート。視聴者の方への“有益な情報提供”を第一に、各業界のトレンドを押さえた動画作りを今日に至るまで続けています。
地道な投稿の甲斐あってか、多くの方に動画を観ていただけるようになり、結果UZUZの就活サポートを幅広く展開することもできました。それ自体はとても良かったのですが、今度はYouTubeの“一方的な情報発信スタイル”が引っかかるようになってしまって……。
媒体の特性上仕方ないのですが「各求職者の方の本質的な悩みを解消できていないのでは」という感覚”を持つようになったんです。
もっと人材紹介サービスのように一人ひとりの悩みに寄り添い、解決に繋げられるサービスを作ることができたら。その思いから作られたのがキャリエモンです。https://career-emon.com/media/
ユーザーの方は、キャリエモンを通して自己PRやES(エントリシート)、面接など就職・転職の悩みを“プロのキャリアアドバイザー”に直接相談することができます。
ありがたいことに、キャリエモンは2021年にサービスを開始して以来、現在では毎年1万人以上の方が利用する日本最大級のキャリア相談サービスにまで成長しました。
今後も、スカウト機能などの機能開発に取り組みつつ、求職者の方一人ひとりに寄り添えるサービスにしていきたいと思っています。
今回の動きによって「100年先もウズウズはたらいている世の中をつくる」というUZUZホールディングスのミッションに近づくことができたと感じています。
以前はUZUZの子会社だったUZUZCOLLEGE(ウズウズカレッジ)やESES(イーエス)とグループ会社という“対等な関係”になれたことで、各会社が自分たちのミッションを追いつつ、ホールディングスの“ミッションにも重なるような選択”をできる環境が整いました。
同じ目標に向かって伴走してくれる仲間が増えたことで、私自身が元々実現したかった「自分が死んだ後にも残り、広がっていくような世の中にインパクトのある仕組み作り」に1歩近づくことが出来たと感じています。
しかし、社会にはまだまだ様々な労働・雇用問題があり、私たちが目指す未来にはほど遠い状態です。
だからこそ、少しでも理想に近づくために今後は更なるステップとして「就労移行支援施設の設立」と「学校法人設立」の2つを進めていきたいと考えています。
今、日本には職場で頑張りすぎた結果、心身ともに疲弊してしまい、働くことが難しくなってしまった方がたくさんいらっしゃいます。同時に障害をお持ちの方が働ける機会や場も少なく、どちらの支援も非常に重要だと感じているんです。
なので、働くためのサポートができる「就労移行支援施設」をUZUZが生み出していきたいなと。就労移行支援施設を設立することで、様々な事情を抱えた方も取りこぼさずにサポートしていけるはずです。
加えて「学校法人の設立」にも力を入れていきたいですね。様々な事情により学びたくても学べない若者や、留学先や就労先として日本を選んでくれるグローバル人材を対象に、彼らが望むスキルとキャリアを得られる学校を作る予定です。
そして、この「学校法人」と「株式会社」と「奨学金制度」の3つを連携させたエコシステム「UZUZモデル」を実現させていきます。
株式会社で安定した売り上げを出し、その利益を奨学金として寄付する。そして奨学金制度を利用し学校で学んだ若者が、社会に出てウズウズと働く。
それぞれがそれぞれの事業を支える体制を作りだすことで「100年先もウズウズ働ける世の中」を作っていけると感じています。
これらの挑戦を進めていくためには、バックオフィス体制の強化、既存メンバーの育成、優秀なメンバーの採用など取り組むべきことが山積みです。
ですが、新しいことや今の世の中にはないものを作り出そうとしているからこそ、問題や課題にぶつかるのは当たり前。課題の一つひとつにしっかりと向き合いながら前に進んでいくことで、着実にウズウズ働ける世の中に近づいていけるはずです。
ホールディングス内で私が果たすべき役割は「世の中を変える経営者の育成」だと考えています。
UZUZグループはこれからも新たな事業や会社をどんどん立ち上げていく予定です。そして、ゆくゆくはUZUZグループで働いているメンバーが新規事業の責任者や経営者になっていきます。
UZUZグループの経営者になるには売上や利益を上げるだけではなく「目指す未来に近づくため」に妥協せず取り組み、壁を乗り越えていける存在であることが大切です。
そんな存在に成長していくためには、責任者としての経験を積むことが一番。
だからこそこれからは「責任者」「事業立ち上げ」といった、新しい経験を積める場を提供し、経営者を育成していくことが私の役割です。
UZUZグループの中に「世の中を変える経営者」が増え、そしてその経営者たちが次の経営者を育てていく。それが「100年先もウズウズはたらいている世の中」の基盤になっていくと思います。