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今回の週刊ひろきでは、人材業界が今後どうなっていくのか、そしてUZUZが過去から現在までに行ってきたこと、これからどのように進化していくのかについて「マーケティング」の観点からお伝えしていこうと思います。
少し長くなりますが、お付き合いいただけたら嬉しいです。
まず、これから訪れる未来がどうなるかというと「本当に価値のあるサービスしか生き残れない」ようになっていきます。これは急にそうなるわけではなく、今までもずっとその状態に近づき続けていました。
ここで、マーケティングの世界の例をいくつかご紹介します。
そもそも「SEO」とは、以下のことを指しています。
・SEOとは
SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で日本語にすると「検索エンジン最適化」といいます。 具体的にはWebサイトの内容を、Google等の検索エンジンに理解しやすいように最適化すること、検索結果に表示させることで自分が伝えたい情報をユーザーにきちんと届けられるようにすることです。
そして2011年頃までは、上位表示を狙うために以下のような“本質的ではないテクニック”が横行していました。
・狙っている検索ワードの出現率が高いほど上位表示されたので、人の目からは文字が見えないよう色を変え、記事内にキーワードを入れまくる
・たくさんサイトを購入し、数多くの被リンクを故意に集めまくる
「ユーザーにとって価値のある情報を届ける」という視点からは逆行する施策です。Googleの検索エンジンがどんどんアップデートされていくにつれ、本質的ではない施策はペナルティを受けるようになり、怪しい業者はサービスをアップデートするか、駆逐されていきました。
SNSや口コミサイトが一般化したことにより、求職者に対してよくない対応をする人材会社や求人企業は、世の中に晒されるようになりました。SNSや口コミの影響度はどんどん増しており、10年前と比較すると、面接で酷い対応をする企業や人材会社もどんどん減っています。
またSNSが流行ったことで、“インフルエンサーマーケティング”という領域が出てきましたが、こちらを活用したステルスマーケティングで売上を伸ばす手法がよく使われるようになりました。
・ステルスマーケティングとは
ステルスマーケティング(英語: stealth marketing)とは、消費者に広告であると明記せずに隠した販促・宣伝行為。非営利の好評価の口コミを装うなどすることで、消費者を欺いてバンドワゴン効果・ウィンザー効果を狙っている。「ステマ」の略語で知られる。やらせやサクラなどもこの一例に分類される。
しかし、それも「うそや大げさな表示など、“消費者をだますような表示”を規制し、消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を作った方がいいよね」となり、消費者庁は2023年の10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反としました。
例を挙げればキリがありませんが、騙したり誤魔化したりする本質的ではないサービスは淘汰され、本当に価値があるものしか生き残れない世界がどんどん近づいています。
現代は、まさにその変革期の真っ只中です。そして変革期は実はとても大きなチャンスです。その変化の流れを掴んで適応できれば、一気に時流に乗って成長することができます。
人材業界に起こる未来の変化は「採用難易度が劇的に上がる」です。以下の表をご覧ください。日本は、ものすごいスピードで少子高齢化が進んでいます。
引用元:SEIWA「2024-vol6.第1回: 「長く働くライフスタイル」を目指す背景」
人材を採用したいニーズは減りませんが、採用ターゲットの若者は減っています。その結果「昔は黙っていても応募が集まっていた大手企業でも、なかなか応募が集まらなくて採用がうまくいかない……」という現象がすでに起こっています。
2024年2月に発表されたマイナビ2025年卒 企業新卒採用予定調査によると、年々採用が厳しくなっており、25年卒の採用においては76.6%の企業が「厳しくなる」と予想しています。
引用元:「マイナビ2025年卒 企業新卒採用予定調査」
そのような状況になると何が起こるかというと「新卒だけでは採用できない……!採用ターゲットを広げよう!」となり、既卒・第二新卒にもチャンスが回ってきやすくなります。UZUZ創業時の2012年と比べて既卒・第二新卒が差別されずに採用してもらえるようになったのは、「企業が若手採用に困るようになった」という点が大きく影響しています。(「既卒・第二新卒が差別されないような世の中にするぞ!!」と今まで10年以上取り組んできましたが、その一番の追い風が「少子高齢化」というのは、正直言って複雑な気持ちです……!)
企業が若者採用に困るようになると、人材紹介会社のニーズが上がります。自社では採用ターゲットを集められないので、「専門の業者にお願いしよう!」となるためです。その結果、人材会社は案件に困ることが減り紹介単価がどんどん上がっていきます。その一方で、紹介する求職者の獲得の難易度も上がっていきます。
各社が「若者を集めたい!」となっている中で、どんどん広告費が投下されていくので、獲得単価が高くなっていきます。実際UZUZでも、創業時の獲得単価と比較してすでに45倍の金額がかかっています。
更にこれからは、加速度的に難易度が上がっていきます。なぜかというと、これからも労働生産人口が急激に減っていくからです。
引用:リクルートワークス研究所「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」
リクルートワークス研究所の「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」によると、今後数年の踊り場を経て2027年頃から急激に減少する局面に入っていきます。そして2040年には今と比較して、1,100万人もの労働力が不足するようになります。
つまり、これから起こる未来としてはこんな感じです。
・集客の難易度が異次元レベルに。右肩上がりで難しくなる。
・若手人材紹介のニーズはどんどん高まる。「お金はもっともっと払うから、うちに紹介して欲しい!」という企業が増える。既卒・二卒も、より採用する企業が増える。
このような未来が来ることは前からわかっていました。そのためUZUZでは、この未来に対応するために多くの若者から「UZUZだからこそサポートして欲しい」と思ってもらうための手を打ち続けてきました。
その代表的な例がYouTubeやSNSの運用です。ですが数年前から「YouTubeやSNSだけでは、これからの未来は生き残っていけないな」と感じていました。理由は、就職・転職領域に参入してくる企業がだんだんと増えてきたためです。
競合が増えれば、視聴者は分散してしまいます。また参入者の中には若くてルックスが良い人が出演しているチャンネルや、チームで出演しているチャンネルもたくさんあります。YouTubeやTikTokで視聴者を獲得したり伸ばしていくためには、ルックスは非常に重要です。ですが私は38歳。正直なところ、外見にも“加齢”が出ることは避けられません(できるだけ長持ちできるように努力はしています)。
多くの場合、私の方が経験豊富なので動画の内容面では勝てる部分もあります。しかしYouTubeは競合のコンテンツが丸見えなので、知識レベルを相手に負けない状態に高めることは比較的容易です(私も競合チャンネルから学んで高めてきました。それはつまり相手も同じことができるということです)。
就職・転職領域で長く運営しており、数万人の登録者がいるため先行者利益はあるものの、「YouTubeやSNSが強い!」だけでは、じわじわと負けていく未来が見えていました。そんな時に大切なことが、冒頭の「本当に価値があるサービスが生き残る」です。
YouTubeやSNSといった目立つ部分のマーケティングだけではなく、UZUZという会社全体で本当に価値のあるサービスを提供できるようになる。そうすれば口コミが広がり、顧客が顧客を連れてきてくれるようになり、UZUZは成長し続けることができるようになります。そのために、丁寧に「UZUZだからこそ」を強化し続けてきました。
マーケティング領域で一つ例を挙げると、キャリアアドバイザーのインタビュー記事の作成です。UZUZほど丁寧に一人ひとりの社員を紹介している競合他社は私の知る限りありません。キャリアアドバイザーの一人ひとりを顔出しで、中身を作り込んだインタビュー記事を公開することで「この人にサポートをして欲しい」と思ってもらえるような土台を整えています。
求職者の方は面談前に「自分を担当してくれる人はどんな人だろうか?」と調べます。その時にしっかりと情報を公開していれば、以下のような良い影響を与えられます。
・「そんな気持ちで仕事に向き合っている人が担当なら、良いサポートをしてくれそうだな!」と思ってもらえ、求職者のキャンセル率を下げることができる
・サポートのしやすさや、採用力(UZUZに入社を決めた方は、きっと社員インタビューを読み込んでくれたと思います)も向上する
また、マーケティング領域やそれ以外も含めて、全社一丸となって「より良いサービスを提供するんだ」という“文化強化の仕組み作り”も、本当に価値のあるサービスを作っていくための一環です。
その代表的な例が、「達成旅行プロジェクト」です。「達成旅行プロジェクト」では、部門を横断してチームを組み、そのチームメンバーで目標達成に向けて頑張っていくプロジェクトのこと。目標達成をしたチームは、会社が費用を負担する形で豪華な旅行にいくことができます。部門を横断して同じ目標を追う人が増えれば、こんな組織に近づけると思っています。
・より人材紹介の現場の声を理解することができて、今までとは違うミドル・バックの動きができるようになる
・ミドル・バックの思いを人材紹介チームが理解することで、ミドルバックの思いを汲み取ったキャリアサポートや仕事の連携ができるようになる
多くの人材会社は、「フロント」と「それ以外」で分断されていて連携が取れていないことが多いです。UZUZは私がマーケ思考を持っていることもあり、他社と比較すると分断が少ない組織ではあります。でも現場レベルでより一体感を持てれば、今とは比較にならないほどに全体の仕事の品質が上がっていくと思います。
なにより一番大切なことは「人材紹介サービス」自体のレベルアップです。なぜなら、実際にUZUZのサービスを利用した方が満足して「UZUZはすごいおすすめだから行ってみなよ」と勧めてくれるようになることが重要だからです。
ここだけの話、人材紹介会社の中には「売上目標を達成するために、内定の出やすい企業を紹介して就職してもらう」という“よろしくない”売上の出し方をしている企業も存在します。しかし、我々が目指す人材紹介サービスは、そんな低い次元で留まるようなものではありません。
若手向けの人材紹介の仕事は、効率的に売上を高めるだけならば簡単な仕事です。しかし、本気で「若者が目指す未来を掴むための支援をすること」をゴールとするならば難易度がとても高い仕事になります。
業界に特化していたり職種に特化している場合の人材紹介であれば、その領域に詳しくなればOKです。求職者自身が業界・職種の経験者なので自分で自分に合った仕事を選べますし、アピールする武器も持っています。
一方で我々がサポートする若手未経験領域は「若さ」という武器を最大限に活かした就職活動になるため、サポートする我々には特定の領域に限らず幅広い業界・職種の知識が必要になります。
そして、求職者自身が自分の才能に気づいていなかったり、周りからの見られ方を気にして自分を見失っていたり、まだスキルや経験や実績を持っていないことが多いです。そのため、我々の介在価値は非常に大きくなります。
「就職先を決めるため」だけであれば、今の若者ニーズが高い市場感であれば、紹介する職種・会社の情報を知っていて、仲良くなるコミュニケーションが取れれば一定の成果を上げることができます。
しかし、その人が本当に目指している未来に近づくためのキャリアアドバイスや、まだ気づいていないその人の特性が活かせるキャリアを一緒に模索したり、活躍可能性を高めるための就職後の仕事への向き合い方のサポートをするためには、キャリアアドバイザーとして深掘りしていく要素が非常に多くあります。
それを磨き続け、研ぎ澄ましていくからこそ売上は上がりますし、本当に価値がある「UZUZだけの人材紹介サービス」に近づいていきます。そして、そのような紹介サービスに向かっていくために、ただいま大きな変革を行なっています。
・初回面談時間を長くする
・顔を見せながら面談する
・新人教育の改革
キャリアアドバイザーが一人ひとりの求職者とよりしっかり向き合うための土台となる大きな変革です。これからもUZUZでは、より本質的なキャリアサポートができるキャリアアドバイザーを増やしていきます。
マーケティングの話に戻ります。
現在運営を行なっているキャリエモン。このサービスは、私がマーケターとして思っていた「より本質的な価値を届けることがマーケティング戦略としても重要だ」を証明するための挑戦でもありました。
もちろん目を引くバナーを作ったり、CV率が高いLPを作って登録数を高めていくためのテクニックも重要だと考えています。しかし、パッとみてわかる工夫は、競合他社もすぐ真似をします。私も他社を真似してここまでやってきました。
無数にある人材サービスの中で選ばれる存在になるには「本当に価値があるサービス」にならなければいけないと、ずっと前から強く感じていました。
他社ができない価値提供をすることで、信頼を獲得しようとして始めたのが、YouTubeです。一定の成果はあげましたが「本質的か?」と考えると、全然足りていないと思い続けています。
動画では、一方通行にこちらが情報を届けるだけになってしまっています。そのため「一般的に役に立つ情報」ではありますが、「その人のため」の情報にはなっていません。YouTubeやSNSで発信内容はより多くの人に当てはまるように話しているので、その分だけ広く浅い情報になってしまっています。
人材紹介の現場にいる人にとっては当たり前のことですが、キャリアや就職活動のアドバイスは相手次第で中身や伝え方が大きく変わります。本当に価値のマーケティングをするためには、一方的に情報を伝えるのではなく、人材紹介のように「1対1」で相互コミュニケーションを取り、その人にあったアドバイスが受けられる方が価値が大きいのではないかと考えました。
また、YouTubeやSNS上だけだと足りない理由は「他の人でもできてしまう」点です。YouTubeやSNSは多くの人が参加できるプラットフォームなので、競合他社もどんどん参入してきます。
悩み続けて出した答えが、「プラットフォームを使う側」から「プラットフォームを提供する側」に移っていくことが、UZUZにしか出せない価値を発揮するために必要なのではないかということ。
プラットフォームを作るのはスーパーハードなチャレンジです。でも、それが実現できて多くの若者が就活する時に「まず最初に相談に来る場所」になれば、今の歪んだ就職市場を変える影響力をUZUZが持てる状態になると考えて、挑戦することを決意しました。
その挑戦がキャリエモンです。キャリエモンは、優秀なキャリアアドバイザーが完全無料で、相談者のためだけを考え、キャリア相談に回答するプラットフォームです(もちろん私も回答しています)。
今まで培ってきたSNS、YouTubeの影響力を使って、キャリエモンにユーザーが流れてくる仕組みを作り、改善し続けて3年以上が経ちました。そして、嬉しいことにキャリエモンの登録数は全チャネルの中で最も多くなる月も出てきました。とはいえまだまだ、ビジネスインパクトは少ない状態です。
私はこれからも、このキャリエモンサービスを本気で伸ばして、本気で今の歪んだ就職市場を変えたいと思っています。ですので、もしキャリアに悩んでいる方は、ぜひ一度キャリエモンからご相談くださったら嬉しいです。
これからもUZUZでは、“本当に価値のあるサービス”を追求していきます!